弁理士はアイデアから権利を創るデザイナーである
アイデアを権利に変えるときに必要な特許明細書.
特許明細書を創り上げるときにどこに情熱を捧げるかと言えば特許請求の範囲だろう.
特許請求の範囲とは、こういう権利が欲しい、と意思表示するところである.
米国ではI claimと宣言して意思表示している.
特許請求の範囲の特定は、どんなに経験を積んだ弁理士でも最も頭を悩ませるところであり、また弁理士の個性が現れるところである.
同じアイデアであっても弁理士が異なれば違う発明になる理由は、アイデアを発明に変えるときの経験と能力の違いである.
特許請求の範囲は、最小限の表現で最大限の権利を発揮させるための記述が求められるところであり、所望する記述ができたときの喜びは格別である.
最小限の表現で最大限の権利を発揮させるのだから、一語として無駄な言葉を置くことはできない.
記述の冗長度を極限まで小さくして発明を表現していく作業は、まるでデザイナーのようでもある.
デザインの世界には「少ないほど豊かである」という格言がある.
機能美を求めるデザイナーのように弁理士も機能美を求めて特許請求の範囲を創り上げている.
余計な装飾を極限まで減らして最低限のデザインで最大限の機能を実現するのがデザイナー.
余計な記述を極限まで減らして最低限の記述で最大限の権利を主張するのが弁理士である.
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