AIにとって代わることができない日本のビジネス現場

いつまでにできますか?

できるだけ早くやります。

こんな会話が何の役に立たないことは百も承知なのに、

仕事でもとても良く使っている。


◯◯日までにできます。

これが質問者の求めている答えなので、

できるだけ早くやります、

と答えた時点で完全にアウト。


この言葉の発するシグナルは、

忙しくてそれどころではない、

まだ全然、取りかかれていない、

完成の目処はたっていない、

というとても消極的な意味であることは暗黙の了解。


それを直接言っては角が立つので、オブラートに包んでいるだけだし、

聞いた方もそれ以上は詰問しないのが大人の対応。


こんないい加減なやりとりは日本だけかと思っていた。

でも実は海外でも多い。

特許事務所の仕事は期限との戦い。

いつまでに回答が来るのか、

いつまでに手続きをしなければならないのか、

ということに非常に神経質になっている。


ASAPなんて答えを貰ったとき、

最初のうちこそ、2,3日以内に返事がくることを期待していた。

このASAP、ビジネスで使われていたら要注意。

その場しのぎの言い訳に過ぎない。


中国語の馬上もそう。

ASAPよりさらに悪く、

やるつもりなど毛頭ない。


かと言って、日付を指定したからと言って、それで安心するのも危険。

◯◯日までに返事する。


安心して待っていたところ、

確かに返事は来た、だが、しかし、

これから準備する、という返事だった。


相手からクレームが入ったとき、

適切に処理して、

と指示する上司がいる。


これが全く意味をなさない指示なのに、

これで回っている日本のビジネスは個々の能力が優れているからこそできる技。


適切に処理する、

具体的には何の指示も出していない。

上司からこの指示を受けた部下は、

適切な結果を求めて翻弄しなければならない。

何をすれば良いのかを問問おうものなら、

そんなことも分からないのか、とお叱りを受ける。


いくらAIが発達しても、

「適切に処理して」

この指示に応答してくれるAIは登場しない。